爆発的上昇の中での戦略的利益確定
暗号資産関連株式のボラティリティと機会を浮き彫りにする計算された動きとして、ARK Investは月曜日に大幅なCircle（CRCL）ポジションを削減し、3つのアクティブ運用上場投資信託にわたって342,658株、5180万ドル相当を売却した。この売却は、Circleの株価が日中高値165.60ドルに達した後、151.06ドルで終了した日と重なった。これは13.1%の日次上昇で、株価をIPO価格の約5倍まで押し上げた。
売却はARKの主力ファンドに分散された：ARK Innovation ETF（ARKK）が196,367株を売却、ARK Next Generation Internet ETF（ARKW）が92,310株を売却、ARK Fintech Innovation ETF（ARKF）が53,981株を削減した。これは、6月5日のNYSE上場時に449万株を取得して以来、ARKがCircle保有株を初めて削減したことを示している。
「ARKの投資戦略は、個別銘柄がファンドポートフォリオの10%を超えないようにすることを目指している。これはファンド内の分散投資を維持するためである。」
— ARK Investポートフォリオ管理ガイドライン
IPOの寵児から市場現象へ
CircleのIPOから現在の取引水準までの軌跡は、近年の市場史上最も壮観なデビューの一つを表している。このステーブルコイン発行会社は1株31ドルで公開価格を設定し、69ドルで取引を開始（既に124%のプレミアム）、初日に103.75ドルまで急騰した後、83.23ドルで終了した。
主要IPO指標:
- IPO価格: 1株31ドル
- 初日終値: 83.23ドル（168.5%上昇）
- 現在価格: 151.06ドル（IPOから387%上昇）
- 時価総額: 完全希薄化ベースで220億ドル超
- 調達資本: 11億ドル（当初提供から増額）
圧倒的な需要により、Circleは株式公開を2400万株から3400万株に増加させることを余儀なくされ、IPOは25倍のオーバーサブスクライブとなった。J.P. Morgan、Goldman Sachs、Citigroupなどの主要引受会社に支えられたこのレベルの機関投資家の関心は、規制されたステーブルコインセクターへの強い信頼を示した。
ARKの計算された暗号資産戦略転換
ポートフォリオリバランシングの動向：
- 初期投資：3億7,340万ドル（449万株）
- 現在の保有：415万株（約6億2,800万ドル相当）
- 実現利益：約2億5,500万ドルの含み益
- ポートフォリオ比重：Circleは各ファンドで6.5-6.7%を維持
ARKのCircleポジション縮小の決定は、ポートフォリオ管理に対する規律あるアプローチを反映している。売却にもかかわらず、CircleはARKの主要保有銘柄の一つであり続け、ARKKでは6.55%の比重で第5位の資産として位置し、ARKWの6.7%、ARKFの資産の6.7%を占めている。
この利益確定は、ARKが暗号資産エクスポージャーを再構築し続ける中で行われた。Circle株を取得した同日、ARKはCoinbase（COIN）を3,940万ドル、Robinhood（HOOD）を1,850万ドル、Block（XYZ）株を1,040万ドル売却しており、取引プラットフォームからインフラストラクチャー関連銘柄への戦略的シフトを示唆している。
ステーブルコインの「iPhoneモーメント」の接近
Circleの驚異的な市場パフォーマンスは、ステーブルコインの変革的ポテンシャルに対する機関投資家の認識の高まりと一致している。CEOのJeremy Allaireが最近行った、ステーブルコインの現状をiPhone以前の時代に例えたコメントは、投資家に強く響いている。
「私たちはまだ、開発者が皆、プログラマブルなモバイルデバイスの解放を見たのと同じように、インターネット上のプログラマブルなデジタルドルの力と機会を実感するiPhoneモーメントには到達していません。もうすぐです。」
— Jeremy Allaire、Circle CEO
この楽観論は、ステーブルコインエコシステムの具体的な発展に裏付けられている。WalmartやAmazonを含む大手小売業者が独自のドル担保ステーブルコインを検討していると報じられており、ShopifyはCoinbaseとの提携を通じたUSDC決済の統合を確認し、6月13日から最初の加盟店アクセスが開始される。
採用を促進する市場触媒：
- GENIUS法：ステーブルコイン規制フレームワークの上院投票待ち
- ビッグテック統合：主要プラットフォームがステーブルコイン決済を検討
- 銀行パートナーシップ：CircleとブラジルのMateraのコアバンキング統合契約
- 機関投資家の支援：USDCを裏付ける220億ドル超の米国債
競争環境と市場ポジショニング
Circleが公開市場での成功を祝う一方で、ステーブルコインセクターは依然として競争が激しい。Tether（USDT）は1,555億ドル超の時価総額で優位性を維持し、約620億ドルのCircleのUSDCを大きく上回っている。しかし、Circleの規制遵守と透明性により、機関投資家の採用において好まれる選択肢として位置づけられている。
注目すべきは、Tether CEOのPaolo Ardoinoが同社に上場計画がないことを確認し、民間企業のままでいると述べたことだ。これにより、Circleがステーブルコインエクスポージャーの主要な公開市場投資先として残り、異常な投資家需要を説明している可能性がある。
2024年12月に4億570万ドルの時価総額でローンチされたRippleのRLUSDなどの新興競合他社も市場シェアを狙っているが、既存の大手プレイヤーと比べて大幅に小規模にとどまっている。
Circleのファンダメンタルズがプレミアム評価を正当化
市場の誇大宣伝を超えて、Circleの財務パフォーマンスはその評価に実質を提供している。同社は2024年に前年比16%増の16億8,000万ドルの収益を報告し、1億5,570万ドルの純利益で収益性を維持した。2025年第1四半期の結果は、5億7,900万ドルの収益と6,500万ドルの純利益で継続的な強さを示した。
収益モデルの強み：
- 利息収入：国債準備金の金利上昇から恩恵
- 取引手数料：USDC採用拡大に伴い成長
- B2Bサービス：企業ソリューションが継続収益を促進
- グローバル展開：ブラジルパートナーシップが中南米市場を開拓
ただし、投資家はCircleの収益性が金利と密接に関連していることに注意すべきだ。同社は準備資産の利息から大きな収益を得ているため、連邦準備制度理事会の利下げはマージンに影響を与える可能性がある。
ARKの動きが暗号資産投資家に示すもの
ARKの利益確定は、Circleやステーブルコインセクターへの信頼失墜と解釈すべきではない。むしろ、慎重なポートフォリオ管理と同社の10%ポジション制限ルールの遵守を反映している。Circleの爆発的な上昇により、ポジションはリバランシングが必要なレベルまで成長していた。
より広い意味では、ARKの暗号資産投資論における継続的な進化を示している。純粋な取引プラットフォームへのエクスポージャーを減らしながらCircleで大きなポジションを維持することで、Cathie Woodのファンドは投機よりもインフラストラクチャーに賭けているように見え、これは成熟する暗号資産エコシステムと一致するシフトである。
「イノベーションは急速に進歩する分野です。私たちは長期投資家でありながら、短期的には逆張り投資家だと考えています。市場の誤解や論争を利用します。」
— Sebastian Benkert、ARK Invest CMO
今後の展望：機会と課題
短期的な触媒：
- 規制の明確化：GENIUS法案の採決により機関投資家の採用が加速する可能性
- パートナーシップの拡大：銀行およびフィンテック統合の増加が期待される
- 開発者エコシステム：プログラマブルマネーのためのツールとインフラの成長
- 市場教育：暗号通貨取引を超えたステーブルコインの有用性に対する認識の向上
監視すべきリスク要因：
- 評価への懸念：11日間で387%の上昇は持続可能性に疑問を提起
- 金利感応度：FRBの政策が収益モデルに影響
- 競争圧力：Tetherの優位性と新規参入者
- 規制の不確実性：進歩にもかかわらず、フレームワークは依然として進化中
ステーブルコインセクターは変曲点に立っています。Allaireの「iPhoneモーメント」予測が正確であることが証明されれば、ARKのような初期投資家は利益確定後でも大幅なリターンを得る可能性があります。しかし、急激な価格上昇は慎重な投資家が考慮すべきボラティリティリスクも導入しています。